額としてのふすま

額としてのふすま

 不動産チラシやマンション広告に現代の住宅事情を見る。明るくオシャレな洋室を中心とする住空間。申し訳のように和室が一間、そして和室と洋室を区切る「ふすま」はその存在の意味をできるだけ薄められて設置されている。西洋家具の存在感に圧倒され洋風のライフスタイルに邪魔にされ続ける、我が「ふすま」のカタチを考察してみる。
 ドアのように音を遮らず閉じた空間も作らず、人の居住まいを感じることのできる暖かさ。古くなれば木枠を外し簡単にふすま紙を張り替えることができる。軽量で簡便な構造を持ちそしてエコロジカルな、極めて良く考えられた日本の間仕切り。またキャンバスとしての意味も持ち、古くから和の空間に寄り添うさまざまな意匠があしらわれて来た。
 現代のクールな洋空間にもその存在感を消すことなく成立する「ふすま」の形とはどういうものか?「額としてのふすま」の意味を再構成することを切り口にこのテーマに向かった。
 額の中のビジュアルには、以前事務所で管理していた水槽で育った、葉脈だけの葉姿のレースプラントと呼ばれる水草をはめ込んだ。ゆらゆら優雅にそよぐ彼女の姿は水槽のなかの妖精のようであり、僕にとっての癒しの象徴でもある。
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