世界には一言では翻訳できない微妙なニュアンスの言葉があるらしい、それらの言葉をイラストと文章で紹介した「翻訳できない世界のことば」という本を読んだ。
日本語の「こもれび」や「ワビサビ」なども紹介されていて、確かに一言では説明しにくい味わい深い世界中の言葉がたくさん並んでいた。
なかでも僕が気に入ったのはイヌイット語の「イクトゥアルポク」。だれか来ているのではないかと期待して、何度も何度も家の外に出て見てみることという意味らしい。大氷原のなかで暮らしていたら、一日中誰にも会わないこともあるんだろうなと思う。この日本に暮らしていても誰かを待っているような人恋しい気分になる時がある。昔、友部正人さんも「人待ち顔の毎日だ」と歌っていたのを思い出した。
年初にデザイナーで公私共に親しかった田川雅一さんが亡くなったり、最近も一緒に展覧会をした
仲間の本田和男さんが亡くなったり、同世代の友人達が逝ってしまった。
なんだか空っぽの夏の空なのだ。
2017年8月29日